その2 銘木は使い方で生きる

Q10 銘木はどのようなところに使うのですか?
A10 銘木は人と同じように、それぞれ個性があるわけですから、建築材の中で、特に内装材として使われます。床の間を中心とした部屋の中で、床柱(とこばしら)床板、床框(とこがまち)、落掛(おとしがけ)、棚、天井板や、竿縁、廻縁(まわりぶち)、長押(なげし)、鴨居(かもい)、敷居などの造作材、廊下板、上框(あがりかまち)、障子の桟(さん)、や照明具などにまで使われています。
Q11 銘木の使い方にこれといったきまりはあるのでしょうか?
A11 特に決まりはありませんから、使う人の感性、審美眼を発揮して、自由に使っていいのです。しかし、先人の知恵として適材適所というものがありますから、参考にするとよりよい家ができるでしょう。また、現代では構造、内装などへの制限や空調設備との絡みもありますから、現代には現代の適材適所というものを考えていくべきでしょう。
Q12 先人の知恵にはどんなものがありますか?
A12 日本人と木のつきあいは非常に長く、木の上手な使い方については、いろいろな知恵があります。まず、今日のように設計図を描いたわけではありませんが、非常に合理的で経済的な「木割り」ということを、昔から考えてきました。たとえば、柱の太さが決まると他の部分に使う木の太さがおのずと決まってくるというようなもので、これは現代の建築にも生かされています。また、天井の高い部屋に細い柱では貧弱ですし、小さなお茶室に太い柱を並べてもうつりません。
木をつかうにあたっては、樹種の取り合わせや匠の技によって、構造をより美しく見せ、意匠という美的要素を際立たせる「収まり」という考え方があります。たとえば、清水の舞台の柱と抜きの絶妙な取り合わせや、正倉院や唐招提寺の板壁(校倉)などがこの例です。
合理的で、しかもバランスのよい建造物をつくるための知恵といえます。
Q13 銘木の適材適所の使い方は?
A13 木の上手な使いかたのポイントは、第一に飽きがこないこと、そして、時間がたっても木の美しさを損なわないように使うことです。そういったことを踏まえた上で、木の個性と美しさを生かした使い方の例をあげてみましょう。寝室の天井は目に絡まない柾目、書斎や婦人室には品よく落ち着いた桐、敷居などのように目の下にくる場所には、木を目立たせないために柾目、風呂には肌の感触や水に対する強さなどの点から、榧(かや)、槙(まき)、檜(ひのき)、椹(さわら)、土台やぬれ縁には、腐りにくい栗や榧、火の気の多いところには燃えにくい桐、トイレの床板には芳香があり防虫効果もあるといわれる楠といった用い方です。
Q14 和室をつくるうえで、参考になる考え方はありますか?
A14 日本の伝統文化には「真」「行」「草」という哲学があります。これを建築や建物にあてはめると、格調ある本床や書院造りなどが「真」、真をややくずしたものが[行]、行を簡素化したものが「草」で茶室や草庵などがこれにあたります。しかし、現代では真、真行、行、行草、草などと多様化してきており、現代の和室の大部分は真行にあたり、今日的な数奇屋造りは行草の部分に入るのではないでしょうか。このような考え方は建物のあらゆる部分に通じます。屋根に始まり、壁、玄関、廊下、板の間、縁、軒などの形や材料、さらには襖の絵柄や調度品にまで及びます。掛け軸や置物などの床飾りも、部屋の様式や床の間回りの木とアンバランスにならないように気を使いたいものです。昔から床飾りは控え目な心の表現が大事とされてきました。
そして、最も大切なのは住む人の心です。折にふれていいもの、本物に接していると、日本の伝統文化のよさが再認識され、より豊かな精神生活が送れるのではないでしょうか。銘木を使った和室を通して、日本の心を知ってほしいと思います。

 

 


株式会社 長堀銘木
556-0021 大阪市浪速区幸町2-5-13
電話 06-6561-2188(代) FAX 06-6561-2186